NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」 2024年5月号 Vol.161
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NPOあつぎみらい21の「かながわBusiness Network」
2024年5月号 Vol.161
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。
毎月1回、メールマガジンを通じて皆さまの経営に役立つ情報をお届けして
参りますので、どうぞ宜しくお付き合いください。
今月号はちょっと長めの経営講座で、活動報告はお休みです。
それでは、今号の内容です。
1.<経営講座> ■ 【中小企業にとってのカーボンニュートラル】
2.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】
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1.<経営講座> ■【中小企業にとってのカーボンニュートラル】
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I. 温暖化が進む地球
気候変動による地球温暖化が進んでいます。異常気象も頻繁に発生していま
すが、気候変動と異常気象の直接的関係は証明されていないようです。気候
(Climate)と気象(Weather)は別物です。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq19.html
ただ、温暖化が進んでいることは事実です。そしてこの温暖化が、人類に
様々な不都合をもたらすこともまた事実です。
・温室効果ガスが主要因か
この温暖化の原因は大気中に含まれる温室効果ガス、(GHG)の増加と考え
られています。そしてこのGHGの増加は、産業革命以降の人類の社会活動に
よるとされています。それは、化石燃料の採掘とその燃焼によるCO2や、畜
肉が大量消費されるようになったために排出されるようになったメタンガ
スなどです。
このGHGがどの程度の温暖化をもたらすかのシミュレーションは、研究者や
研究機関が様々な結果を発表しており、どれが正解なのかはわかっていま
せん。
現在国際社会で共有されている2050年までのカーボンユートラル(排出と吸
収の相殺)の目標は、これらの様々なモデルに基づくシミュレーション結果
の平均として、温暖化をプラス1.5°Cに抑えるために設けられました。
・対処方法の検討も大事
2050年までのカーボンユートラル目標の妥当性は、必ずしも高いとは言え
ないとの議論も多くあります。しかし、要因やその寄与度はともかく、地球
が温暖化してるという事実は動かせません。
GHGガス削減の努力と共に、温暖化が制御不能になった事態を想定した対処
方法を人類の課題として議論すべきではないかと思います。
とは言え、GHG排出量の削減は必須です。
II. 企業活動におけるカーボンニュートラル
ここからは、企業活動におけるカーボンニュートラルへの取り組みについて
考えてみましょう。
1. 温暖化ガス(GHG)プロトコル
GHG排出量の削減を議論する際の基準をGHGプロトコルと言います。
・CO2に換算して議論しよう
GHGにはCO2だけではなくメタンガスをはじめ様々な種類があり、それぞれ
の種類によって、温暖化に対する寄与率が異なります。これがGHG排出削減
を議論する際の障害となっていました。そこですべてのGHGを、CO2に換算
して議論することにしました。CO2の1kgの何倍に相当するかが地球温暖化
係数として、公表されています。ちなみに、メタンは28倍です。
また、GHGプロトコルでは、排出源により以下のようにGHGを分類すること
が規定されています。
・SCOPE1: 企業が直接排出するGHG(燃料の燃焼や、GHGの直接排出)
・SCOPE2: 企業が消費する電力によるGHG排出(購入した電力を発電する
際に、電力会社が排出したGHG)
・SCOPE3: サプライチェーン、輸送、製品の使用、廃棄など、直接所有ま
たは管理されていない発生源
(SCOPE3はさらに13のカテゴリーに分類されます。)
サプライチェーンから購入された原材料に由来するものは、SCOPE3カテゴ
リー1として分類され、サプライチェーンを遡る際には最も重要な項目であ
り、注目されています。
2. TCFD勧告
・プライム上場企業に報告義務
G20の財務大臣・中銀相総裁の要請により設置された組織(タスクフォース)
であるTCFDの勧告に沿って、企業は自社グループの財務情報開示におい
て、気候変動関連リスク及び機会に関する「ガバナンス・戦略・リスク管
理・指標と目標」ついて開示することを推奨しています。
そしてこの開示された情報を、投資・融資などの判断材料とすることを推奨
しています。
日本においては、東京証券取引所のプライム市場の上場要件として、この
TCFDD勧告に沿った情報開示が求められており、すでに多くのプライム上場
企業が財務情報の開示を実施しています。
・活動ベースのGHG排出量管理
TCFD勧告に基づく情報開示では、各企業グループ単位で、企業活動による
GHG排出量に関する「ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標」を作成
し、GHGプロトコルの、SCOPE1・SCOPE2およびSCOPE3の各カテゴリーご
との排出量や削減目標を開示することが求められています。
これらの排出量の中で、サプライチェーンに依存するSCOPE3カテゴリー1
の排出量については、調達品目の業界平均値やモデル推計に活動量(売上や
調達量等)をかけた値が用いられております。しかし、これは実態を正しく
表せておらず、不十分であるとの指摘があります。
3. 製品原単位のGHG排出量の報告が求められる
とここまでは、プライム上場企業の話で、中小企業には関係ないんじゃない、
と思われる方も多いのではないでしょうか。ところがそうはいかないのです。
サプライチェーンの上流近く、
部素材 ー>【部品の加工・成形・製品の組み立て】ー> 大企業
ここは中小企業が担っています。
つまり納入先から、納入品のGHG排出量データを求められるようになってく
るのです。そう遠からずに。
・サプライチェーンを遡る方法論
同じ部材でもメーカやプロセスによってそれが製造され出荷されるまでに排
出したGHG総量に大きな違いがあり、購入先固有のGHG排出データをサプラ
イヤーが製品納入と同時に報告することが望ましいと考えられるようにな
っています。
・ゆりかごから出荷まで
購入部素材や部品。製品が、そのサプライチェーンの最上流(生まれた時)
から自社への入荷までに排出したGHG総量に、自社プロセスでの排出量を加
えて、出荷時の排出量データとして納入先へ報告する方式を、ゆりかごから
(出荷)ゲートまで、「Cradle to Gate」と呼ばれ今後はGHG排出量デー
タの基本的な考え方になるのではないかとされています。
ヨーロッパ発のデータ共有プラットフォームであるManufacturing-x/
Catena-XやGAIA-Xなどで共有される排出量データもこの考え方をベース
としたものとなります。
日本では、JEITAのGreen x Digitalコンソーシアムがその活動を行って
います。
サプライチェーンの上流つまりサプライヤーは、自社の部素材・部品・製品
の原単位のGHG排出量データを、定められたタイミング・精度で提供するこ
とが求められるようになります。サプライチェーンの上流の製造業者にとっ
て、特に下請けの中小製造業にとって、極めて大きなインパクトになること
が想像できます。
現在は、一部の自動車メーカのティアー1サプライヤーへの展開が始まった
ところで、一般の下請け中小企業にはまだ直接的な影響は出ていないよう
ですが、遠からず具体的な動きが出てくるものと思います。かつて、特定化
学物質の含有量証明や非含有証明が部素材・部品・製品単位で要求される
ようになった状況と似ているように思われれます。
現状は、自社のプロセスの排出量の算出の精度やタイミング、製品やそのカ
テゴリーの単位など、データの認証の必要性なども、議論は始まっていま
すがまだ何も決まっていません。
カーボンのニュートラルの目的を達成しながらも、産業界の成長を維持する
ための活力と柔軟な変化対応力の維持を考慮した「現実解」を探る努力が必
要となるでしょう。個人的見解ですが、日欧米の産業構造の違いは大きくと
も、現実解はそれほど大きく異なることはないのではと考えております。
皆さんの工場では、将来的に、製品単位に前述のSCOPE1・2・3を算出する
ことは可能でしょうか。
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Writer:NPOあつぎみらい21理事
@bridgeコンサルティング代表
(株)@bridgeテクノロジー代表取締役
橋向 博昭 (中小企業診断士)
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2.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】
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■ 編集後記
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先日駅のホームで、スマホで乗り継ぎの電車を確認しながら歩いていると、
後ろからドンと。ぶつかってきた老人がよろけていたので、申し訳ありま
せん。大丈夫ですか?と聞いたところ、歩きスマホを厳しく咎められまし
た。
どうやら、注意するためにわざとぶつかってきたようです。
まあ、私が悪いのですが、わざとぶつかって来る風紀委員老人にも困った
ものです。最近増えてませんか?
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