NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」平成31年3月号 Vol.99
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NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」
2019年3月号 Vol.99
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。
毎月1回、メールマガジンを通じて皆さまの経営に役立つ情報をお届けして参
りますので、どうぞ宜しくお付き合いください。
多くの方が年度末でお忙しい時期かと思います。あつぎみらい21のメルマガ
「かながわ Business Network」に目を通していただきありがとうござい
ます。元気?に、新年度を迎えたいと思います。
では、今月の内容です。
1.<経営講座> ■ 【企業の「強み」と知的財産について】
2.<活動案内> ■ 【2月のみらいコミュニティ、1Dayプロボノ】
3.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】
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1.<経営講座> ■ 【企業の「強み」と知的財産について】
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知的財産について
米国と中国の知的財産権を巡るやり取りは熾烈を極め、日本も対岸の火事では
済まされない状況です。何れにしろ、知的財産権を含む情報は国や企業の帰趨
を決しかねない状況です。製造・消費の一層のグローバル化が進む今日、中小
企業においても同じことが言えると思います。こうした状況の中、経営者自ら
が従来の業態・経営体質から脱却し、新たな市場や顧客を開拓し、新たな商品
やサービスの提供に積極的に取り組み、自社の「強み」をアピールしていく意
識改革が必要と言われています。そのため、「強み」を裏打ちしている知的財
産の特定とその開発・蓄積は極めて重要です。
このことは、企業経営において知的財産権を意識しないととんでもない落とし
穴があることを示唆しており、逆に優れた知的財産権は大きな「強み」です。
知的財産はその創成を促し、広く利用するために手厚く保護されています。各
企業においては事業を継続する中で幾つかの「強み」をお持ちで、「強み」を
いかに活用しようかお考えだと思います。この「強み」に知的財産が多数含ま
れていて、常にこの育成・管理・活用を考える必要があると思います。
知的財産基本法で定義される知的財産とは人の創造的活動により生み出され
るものであって事業活動に有用な技術上又は営業上の情報と言われています。
知的財産の特徴の一つは「物」とは異なり「財産的価値を有する情報」である
点です。情報は容易に模倣される
という特質をもっており、しかも利用することにより消費されることがないた
め多くの者が同時に利用することが出来ます。従って創作者の権利を保護する
ために種々の法律、制度が整備されています。一般に知的財産と云えば、特許、
実用新案、意匠など思い浮かびますがそれだけでなく広く事業活動に有用な情
報全てが知的財産と考えられます。
知的財産を保護する法律、制度について
企業にとって極めて重要な知的財産はどのように保護されているか、まとめる
と以下の様になります。
以下の表では上にあるものほど、権利獲得するために社会的・個人的コストが
かさみますが、権利の対象が明確になるというメリットがあります。一方、下
へ行けば権利獲得のコストは下がりますが、権利の対象が曖昧である、また第
三者に権利が及ばないといったことも起こります。
特許権、意匠権、商標権については先例がないか、論理的・物理的に矛盾が
ないか国が審査機関を設け慎重に審査します。従って対象は明確であり、強い
権利が得られます。また得られた特許権などはそれ自身譲渡が可能であり、ビ
ジネスの対象になります。しかし、権利化には長い時間と大きな費用が掛かり
ます。一方、実用新案では審査制度はなく出願即登録となり費用も割安です。
実用新案権を行使するためには、特許庁が作成する実用新案技術評価書が必要
になります。
◾️知的財産を保護するための法律・制度の体系(経済産業省資料より)
(知的財産法の種類とそのメリット・デメリット)
1.特許・意匠・商標法(審査登録・権利付与)
メリット:
審査機関(特許庁)で権利として保護すべきものかどうかを判断して権利を付与。
審査機関を設けることで安定した高度の判断が可能。
デメリット:
登録機関、審査官が必要
2.実用新案法(無審査登録・権利付与)
メリット:
権利の有無が明確であり、登録により譲渡を可能としているため、迅速な資金
回収が可能。
デメリット:
登録機関が必要
3.著作権法(無登録・権利付与)
メリット:
行為規制型より強い保護が可能(営業上の利益の損害を要件とせずに差止め請求
が可能)。
デメリット:
保護対象によっては過剰な保護になる恐れがある。
4.不正競争防止法(行為規制型)
メリット:
不正行為法より違法行為の内容が明確化
される。
デメリット:
保護を受ける地位、権利を譲渡できない。
5.不法行為法
メリット:
新たな事案に対して柔軟に対応できる。
デメリット:
規制行為の明確性に欠ける。
損害賠償のみ。
6.契約による保護
メリット:
当事者の意思に沿った保護が可能。
デメリット:
第三者に対して効力がない。
著作権ですが著作物とは「思想または感情を創作的に表現したもので、文芸、
学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と規定され、文部科学省文化庁
の管轄であり、平たく言うとアート、文芸に属する権利ですが、近年情報ネ
ットワークの急激・広範な進展に伴い、その利用価値と不正利用に対する課
題・対応が問題になっています。著作権は人が創作を完了した時点で自動的
に発生します。また、損害を被らなくても第三者の利用を差し止めることが
可能です。コストが掛からずに権利が発生する強い権利です。
最近の情報によると、文化庁は、録音・録画物以外のコンテンツもダウンロ
ード違法化とする方針とのこと。現在の著作権法では、いわゆる海賊版サイ
トからの録音物(音楽や音声)もしくは録画物(動画)のダウンロードが違
法となっている。今回の方針では画像など音楽や動画以外のコンテンツにつ
いても、権利者の許可無くアップロードされたものをダウンロードする行為
は犯罪となる。との考えです。
プログラムに関してはプログラム著作権が発生します。プログラム著作権は
通常の著作権と運用が異なる点があり注意が必要です。従業員によるプログ
ラム著作物は職務著作 として雇用者が著作財産権を有します。自社開発の
優れたプログラムは「強み」であり登録など管理が必要です。
次に不正競争防止法ですが、これは特許法、意匠法、著作権法では十分な保
護ができない模倣品や海賊版を取締ったり、保護が困難なノウハウなど営業
秘密(企業秘密)を保護するものです。言い換えると、「事業者間の公正な
競争」を確保することを目的とする法律で現在9項目(将来増える可能性は
ある)の行為類型が規定されています。所謂「パクリ」「便乗」「偽装」・
・・を取締る法律です。この中で関係の深い行為類型は営業秘密(企業秘密
)に関する「営業秘密の侵害」です。従業員による顧客情報、技術・ノウハ
ウ情報の持出し、見積価格の漏えい、設計図がコピー転用された等々数多く
あります。この規定により保護されるためには企業が技術、営業に関する情
報をいかに管理しているかです。①秘密情報として管理すること ②事業活
動に有用な情報であること ③公知情報でないこと が基本要件です。管理
がずさんで、営業情報が流出したと慌てても駄目です。自己管理的な費用、
訴訟になった場合の費用は掛かります。
次に不正行為法は不正競争防止法の行為類型に該当しない事例など広範囲な不
正行為に対応可能ですが、対象が明確でないことや損害賠償のみで差止め請求
ができないデメリットがあります。
契約による保護ですが企業にとって基本になる費用の掛からない制度です。
従業員との雇用契約の締結や設備、建屋など様々な場合の基本になります。た
だしこれは第三者に効力が及びませんので注意が必要です。
知的財産を保護する観点で見て来ましたが、保有している「強み」とその活
用の仕方により保護形態を選ぶ必要があります。
これらの法律、制度以外に知的財産に関連する法律としてJAS法、食品衛
生法、景品表示法などあります、いずれにしても経営者、幹部社員は自社の
「強み」を分析し、権利化すると共に、その流出を防ぎ、活用することが重要
です。同時に他社の権利を侵害していないか意識を持って注意することが必要
です。法律・制度の詳細については下記資料をご参考ください。
参考資料
1.独立行政法人工業所有権情報・研修館
知的財産の創造・保護・活用を通じて産業社会の発展に努める。
https://www.inpit.go.jp/
2.特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
世界の特許・実用新案、意匠、商標(産業財産権)に関する各種情報が収録さ
れており、無料で特許情報の検索・閲覧サービスを提供。
https://www.inpit.go.jp/j-platpat_info/index.html
特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
3.著作権に関する文化庁のサイト
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
4.不正競争防止法に関する情報、試料(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/
作成:NPOあつぎみらい21会員
石崎 洋之
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2.<活動案内> ■ 【2月のみらいコミュニティ、1Dayプロボノinあつぎ】
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こんにちは、みらいプロジェクトの伊豫田です。
2月24日は「みらいコミュニティ」のほか、半日で市民団体の課題を解決する
「1Dayプロボノinあつぎ」とを行いました。
■みらいコミュニティ
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ことしの1Dayプロボノは、昨年と同じく2団体に参加いただき、8名のプロ
ボノワーカによる課題解決が行われました。
一つは昨年に引き続き、厚木の福祉作業所、厚木つばきの会から、理事長の横見
さんが参加くださいました。
今回私は、つばき作業所チームのリーダーとなり、ワーカーのファシリテーショ
ンを行いました。
みらいプロジェクトのウェブサイトでも時々紹介していますが、つばき作業所が
取り組んでいる、「立志ゴマ」
グッドトイの2次選考を通過した、嬉しい報告から始まりました。課題はグッド
トイの認定が現実味を帯びてきたので、このさきどのように販売していくか。
販路開拓や商品のブランド化に絞って、検討していきました。
一般企業と違って、人手も予算も出来ることに限りのある福祉作業所だから、身
の丈の活動で出来る範囲の提案をすることが、プロボノに求められます。
日ごろ会社や自営で仕事をしているワーカーにはここが思案のしどころになりま
す。
今回は、立志ゴマの持つ特徴を縁起物としてのストーリーを与えて価値を引き出
し、地元の寺社仏閣などの地域資源と結びつけるという提案を行いました。
団体側もワクワクする話と喜んでいただき、さっそく今週から活動を開始すると、
後ほどメールをくださいました。
もう一つの団体は、厚木でチャリティショップを運営するWE21ジャパン厚木、
代表の小川さん。こちらは、同じくみらいプロジェクトの藤田がリーダー役となり、
団体活動を進めていくための課題整理を行いました。
プロボノワーカーとして参加していただいたみなさんの、経験やスキルが存分に
発揮されたことが何より嬉しかったことです。
まとめのあいさつでも触れましたが、この1Dayプロボノは一方的に団体さん
が恩恵を受けるだけはありません。
団体さんに参加してもらえることで、日ごろビジネスの場で活躍するみなさんに、
市民活動や地域貢献に身の丈で参加する機会を与えていること。
つまり双方向に「与える」。この関係が成り立つことで、より多くの市民が地域
の活動に参加でき、地域づくりが加速されること。私たちのみらいプロジェクトが
少しでもお役に立つことが出来れば、幸いなことです。
今日のイベントに参加してくれた皆様に、あらためて感謝いたします。
■1Dayプロボノinあつぎ 地域活動のしゃべり場
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今月のしゃべり場は、午後の1Dayプロボノに参加するワーカーの皆さんで、
地域の活動やプロボノについて話し合いました。
県央地域の風土に見合った、社会参加、地域活動への協力をどのようにして、広
げていくことが出来るか?
バックグラウンドの違ういろいろな人が集まると、多くの知見が飛び交い、それ
ぞれが刺激を受ける楽しい時間になります。
これだけの情報化社会なのに、ますます地域からの分断されて孤立するのは、核
家族化がもたらす副作用なのでは? といった意見がだされました。私たちの活動
を広げていくためにも、伝える手段をこれからも考えていく必要があります。
■来月のみらいコミュニティ
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来月のみらいコミュニティは、
3月17日(日)9時30分から〜12時まで。
場所は相模大野
ユニコムプラザさがみはら、ミーティングルーム3で開催されます。
あなたも自分の空いた時間と仕事のスキルを使って
プロボノ活動を始めてみませんか?
みらいコミュニティは予約不要、だれでも参加できます!
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★Writer:伊豫田 竜二 (中小企業診断士)
□みらいプロジェクト 県央地域のソーシャルビジネス支援を通じて
プロボノや社会起業家など地域人材を育てる、あつぎみらい21の自主事業
Website: https://atsugimirai21.org/miraipj/
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3.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報 】
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▼ その他のセミナー・講演情報
厚木商工会議所 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.atsugicci.or.jp/category/seminar/
相模原市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.ssz.or.jp/event
川崎市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.kawasaki-net.ne.jp/seminar.html
横浜商工会議所 セミナー・講習会のご案内
http://www.yokohama-cci.or.jp/event/
川崎商工会議所 セミナー・講演会スケジュール
http://www.kawasaki-cci.or.jp/event/index.html
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■ 編集後記
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気がつけば、新元号の発表も間近になってきました。さてさて、どうなるの
でしょう。イチローも平成と共に引退ましたが、中小企業の新しい時代の経
営者へのスムースな事業承継が課題となってきています。
明日のために、今日、何を為すかが問われます。
それでは次回も楽しみにして下さい!
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発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:石川征郎(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org
編集担当:橋向 博昭
E-mail: consulting@hashimukai.com
Website: http://www.atbridge-cnsltg.com
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