NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」平成30年12月号 Vol.95
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NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」
平成30年12月号 Vol.95
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。
毎月1回、メールマガジンを通じて皆さまの経営に役立つ情報をお届けして参
りますので、どうぞ宜しくお付き合いください。
今月号は、クリスマスの煙突まわり?で忙しく通常より1日遅れの発行になりま
した。世界の子供達に、幸せが行き届くことを・・・・
では、今月の内容です。
1.<経営講座> ■ 【技術革新時代へのモノづくり対応について】
2.<活動案内> ■ 【プロボノ事業「みらいコミュニティー」】
3.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】
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1.<経営講座> ■ 【技術革新時代へのモノづくり対応について】
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IT化時代と言われ、どの業界もグローバル競争が激しくなっている。
自動車業界はその傾向が顕著で、T型フォードの量産開始から100年に一度の
大変革期と認識され、“CASE” (C:コネクティッド、A:自動運転、S:シェ
アリング、E:電動化)の分野で熾烈な競争が行われている。そこで、ここでは、
新技術競争の視点から、“自動運転”を例にあげて、モノづくりへの対応の考え
方について考えてみたい。
まず最初に、自動運転の主なポイントを簡単なイメージで紹介する。
そもそも、自動車事故や渋滞の多くがドライバーのミスに起因する(90%)た
め、車を知能化した自動運転が有効であると、以前より期待されていた。実は、
無人運転の制御技術は、自動車メーカーのテストコースで40年以上も前から実
験走行用で実施されていて、目新しい技術ではないのだが、公道の自動運転は道
路条件の入力が複雑なため、夢物語であった。その後、IT技術の飛躍的進歩によ
り実現の見通しが出てきた現在、10年後の完全自動運転(無人化)に向けて、段階
的に開発が進んでいる状況にある。要点は以下の通り。
・走行安全確保の考え方は、ドライバーの意思を尊重しながら危険を未然に防ぎ、
万一の危険発生の場合も次善の対応策で支援をする…ということ。すなわち、
車が障害物と衝突しないためには、走行中の車が速度毎で決まる接触までの距
離の領域(セーフティシールド)に合わせてセンサーを設定し危険を感知する
という、全方位の安全支援が採用されている。
・自動運転のレベルは、下記のように定義されている。(SAE準拠の案)
レベル0:自動機能のない一般車、従来通りドラーバーが運転。
レベル1:運転支援機能、自動ブレーキ、ACC(仇プティ部・クルーズ・コントロ
ール)、自動停止/自動発進など。
レベル2:部分運転自動化、ドライバー判断で自動運転。
但し、常にドライバー監視が前提条件。
レベル3:条件付き自動運転、(システムが自動運転)+(緊急時ドライバー操作)、
緊急時とは、AIシステムから手動切り替え時のこと。
レベル4:高度な自動運転、緊急時を除き、運転はシステムに任せる。
( ドライバー不要、走行環境整備と環境変化時の安全停止)
レベル5:完全自動運転、全ての条件で自動運転出来る。
事故回避性能は人の能力を超える。
・自動運転技術の基本システムは、次のようなサイクルで行われている。
[センサー(内界、外界)] ⇒[認識(状態、物体)] ⇒[総合判断]
⇒[操作アクチュエータ(自動、手動)] ⇒[センサー] に戻る
・センサー
センサーで感知が必要な情報は、自動車自身の状態を知る内部情報と走行環境の
外部情報がある。内部情報を知る内界センサーとしては、速度、加速度、ジャイ
ロ角度などがある。自動車外部の外界センサーとしてRIDAR,LIDAR,カメラ、
GNSSなどがある。これらの情報を総合的に組み合わせてセンサーフジョンする。
例えば、どの位置にどんな物体があるか、などを検出する。
・認識と判断
上記(4)のセンサーフュージョン情報で対象物の位置と形状が検出されるので、
危険回避の基本条件は得られ、高速道路などの限定された条件での自動走行は可
能となる。しかし、一般道路のような複雑な環境では、対象物が何であるかを判
別して走行しなければならないため、上記センサー情報だけでは不十分である。
つまり、センサー情報をもとに人間並みの判断能力を用意する必要があり、この
能力を実現する技術について、現在世界中で激しい研究競争が繰り広げられている。
人間並みの判断能力をどのように獲得するか、そのアプローチの仕方として、次の
二通りがある。
(a)人間の考える論理により対象物を特定する条件を絞り込んでいく手法。
れは、従来の一般的技術開発手法であり、結論を得る根拠(意味)が人間に
も理解できるので、得た結論に対する納得性と安心感がある。しかし任意の
対象物の全ての条件を特定するための労力が膨大であり、現実には限界があ
る。但し、高速道路などの限定された条件のもとでは、この手法の方が効率
的とみることもできる。
(b) 画像データをもとにコンピュータが情報処理をして自動的に判断する手法。
画像データを形式的な類似性だけから分析していく考え方で、その意味は考
えない。この解析/判断プロセスの作動は、脳の認識回路を模擬したAI(ディ
ープラーニングなど)システムを活用するもので、大量の画像データをコンピ
ュータに学習(ディープラーニング)させ、これをもとに対象物が何である
かを瞬時に判断させる。近年グーグル等のIT企業が始めたもので、既に米国
の一般公道で実証実験中である。この手法は、この結論がなぜ正しいのかの
根拠が示されないため、人間として不安が残るという懸念点がある。しかし、
ちょっと考えてみると、人間が自分で考え自分で結論を出す場合であっても、
その時の脳内部のシナプスのネットワークがどのように作動していたかは分
からなくても、その結論を信じて行動するわけであるから、両者に本質的な
違いはないのかもしれない。重要なことは、判断の精度が保証されることで
あるから、自動運転者の実証実験の結果に期待したい。
(6)自動運転をサポートする技術には、次のようなものが実用化されつつある。
・ヒューマン・マシン・インターフェース:ヘッドアップディスプレイなど
・地図:正確な三次元地図、地図の高度利用技術
・相互通信:OTA(無線でアップデート)、DSRC(路側機と車載器の間の通信)
・データ処理システム:フェールセーフ、サイバーセキュリティ
・しかしながら、自動運転導入には以下の未解決な課題があり、検討が進行中であ
る。
(a)ドライバー操作との対応(危険回避、違和感)
(b)多様な道路環境への対応
(c)サイバーセキュリティ対策
(d)事故に対する法的責任の所在
さて、以上の自動運転の例で見てきた内容を踏まえて、私見を、若干披露したい。
・自動車の先端技術の勝ち負けの中核がハードからソフトに移行しつつある。
自動車のハードの制御技術は、入力/出力が特定されれば、どのような制御も可能な
レベルに到達していて、各メーカー間の優劣の差異は少ない。このため、勝敗はソ
フトの分野に移行しつつある。自動運転の場合は、基本システムの操作とセンサー
の範囲は従来技術の延長で対応できるので、優劣の決め手は、認識と判断のプロセ
スで生じるのであり、その内容はソフトである。
・しかし、ソフト時代になっても、自動車として使用される価値は変わらず、自動車
というモノづくりの基本プロセスは変わらない。
マスコミ的表現では、自動運転車の技術はプラットフォームを支配するソフトメー
カーが主導権を握りつつあるという。確かに、自動運転実現のカギでは、“障害物検
出の画像処理”とそれに基づく“対象物特定の認識/判断”である。画像処理技術では、
PCゲームメーカーの米国エヌビディアとイスラエル・モービルアイが断トツであり、
日本は残念ながら、この2社の技術の支援を得ながら開発している状態である。つま
り、認識システムの基本構造は抑えられ、自動運転時代を支配される恐れがある、と
いう。ウインドウズの経験のように、画像処理のプラットフォームは、追いつきや逆
転は極めて難しいと思う。
しかし、チョット待てよ! 顧客の視点から見れば、その製品に求められるトータル
価値こそが最も重要な点であることは何ら変わり無いではないか。例えば、システム
のプラットフォームが何であっても顧客には関係が無く、また、逆に、共通プラット
フォームになれば、各メーカー間の優劣は、自動車としての最適化や使いやすさにつ
ながる元データと評価ノウハウのレベルとなるのではないか。具体的に言うと、どの
ような障害物があるかを見て、それがどのように自動車に対して障害になり、自動車
はその障害物にどのように対処して挙動していくべきか、その挙動の結果をどう対処
していくか、などは、自動車メーカーが本業として自動運転システム全体をコントロ
ールしていかなければならないということである。センサー情報処理システムだけ良
くても不十分である。データ処理された情報をどのように解釈し、評価し、どのよ
うに自動車の走り方と使い方に反映していくのか、システムの価値は、あくまでもト
ータルで考えるべきものである。決定者である顧客は、そう判断すると思うが、如何
であろうか。
・モノづくりのIOTへの取り組みも同様のことが言える可能性がある。
IOTの有効性は勿論沢山あるが、小規模企業の場合には、技術的に難しく、コストパ
フォーマンスも必ずしも良いとは言えない、などの課題が指摘される場合がある。そ
れは、過去の新技術導入時(自動化やロボット導入など)の過ちと類似しており、現
状把握が不十分な状態でIOT検討を始めることに起因している可能性があるように思
われる。そこで、次のような点に留意することをお勧めする。
a. まず最初に、現状把握
工程と環境の現状とその問題点および作業者の生の意見を充分に把握する。設定
当初の工程や環境から現在までに変化した部分についても把握し、その再評価を
行う。工程内容の変更があれば、良い悪いなどの変化が必ずあるので見逃さない
こと。
b. 全工程の効率の見直し
効率の悪い工程や無駄な工程を抽出する。(見直すたびに、いくつかの工程
は対象になることが多い)特に、品質改善で行っている作業は、そもそも品質
不具合が無ければ不要となる工程である等、各工程の役割の本質を見直すこと
が重要。
c. 改善対象の特定
改善したい内容が該当する工程内だけで処理するべきか、別工程との連携で
対応すべきかの比較検討を行う。
d. 工程間の連携方法
別工程との連携方法は、現状工程をベースにして、人が行う場合とIOTで行う
場合を比較し、どちらが有利かを判断する。現状にもIOTにも、どちらにもこ
だわらないことがポイント。
e. 全工程の最適化
上記a~dの検討が完了したら、全工程をブロック図で再度記述し、改めて原点
である最終目標点(品質のよい完成品)に到達する最適工程ブロック図を描く。
工程の組み方は、情報の移動は全てIOTで行うという視点を前提として描いてみる。
(1)最短工程にできないか、
(2)省略工程や合体化する工程はないか、を検討し、
(3)最適工程を再度設定する。最後に、
(4)トータルのコストパフォーマンスをチェックし、新システム導入方法の
総合判断を行う。
どの商品やどのビジネスでも、歴史の中でニーズを満たすために生れ、その役割が持
つ。役割とニーズは表裏一体であるから、時代の流れとともにニーズが変われば、役
割も変化する。
変化の波には短期、中期、長期があり、IOTのような大きな影響を与える長期の波は、
世間で大げさに騒がれるけれども、本格的な普及と適用手法の定着まで長期の時間が
かかる。長期戦であることを前提として認識し、まずは現状の正確な把握を行い、
IOTとの相性をジックリ考察し、出来るところから現実的に、しかし競合との関係を
意識しながら、判断は素早くすることが肝要と考える。
現実的対応の考え方の参考例を紹介する。新技術定着までの過程では、“疑似新技術”
と言うものも多数併発する(半分手動の自動化装置など)。この“疑似新技術”は新技
術という表現では偽者ではあるけれども、考え方の先取りなど、いずれ新技術につな
がる可能性を秘めたものなので、新技術以降への準備運動として有益である。IOTで
言えば、工程間の連携を部分的に良くする工程改善の一部をIOT化するなどが該当
する。現時点でコストパフォーマンスの向上が見込める“疑似新技術”が見つかれば、
積極的に取り入れていくのが現実的なお勧め案である。
一方、本来であれば、時代の流れや変化の中でも不変のニーズを探り当てるのがベスト
であるから、常に、身近な世界から始めて、時代の動向、他業界の動向、諸外国の動向
などに高いアンテナを張り、その変化の原点は何処か、本質的変化は何か、を問いかけ
ながら、現実的トライアル&エラーをして前進していこうではありませんか。
吉川寿夫
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2.<活動案内> ■プロボノ事業「みらいコミュニティー」1月の活動予定
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ソーシャルビジネスを通じて、地域のプロボノと社会起業家を応援する。
誰でも参加できる地域活動、みらいコミュニティ。
事業を通じて、地域の課題に向き合っている皆さまに、ビジネスのスキルを持っ
た市民が、それぞれの得意分野を持ち寄って解決策を考える活動です。
■今後の活動日
1月27日(日)厚木市保健福祉センター4F ボランティア作業室
09:30〜 地域活動の学び場(ミニセミナー)
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1月 1Dayプロボノ事前説明会のため、セミナーはお休みします
11:00〜 地域活動のしゃべり場(フリーディスカッション)
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だれでも参加できる「ワクワクする楽しいまち」を創るディスカッション
・あなたの知識や経験を、地域の困りごとの解決に役立ててみたい方、
・より良い地域作りのために活動する団体の参加をお待ちしています。
■1Dayプロボノinあつぎ
今年度も1Dayプロボノを開催します。市民活動やソーシャルビジネスに興味
を持っている方に、プチ地域貢献やお試し参加ができる場を用意します。
プロボノは、仕事や家庭とも違うサードプレイス活動のひとつ。自分のスキルを
活かすことのほか、新たな可能性を探すことや未経験のスキルを磨くことも、自分
次第で実現できる場所です。
地域の中に、自分の居場所を創りに来ませんか?
日時 2019年2月24日(日)13:00〜16:30
場所 厚木市保健福祉センター4Fボランティアセンター研修室
NPOあつぎみらい21や一般の「プロボノワーカー」が、職業上のスキルや専門知
識を活かして、地域のNPOや社会活動団体の課題解決をお手伝いします。
1.支援を受けたいNPO法人、地域で活動する団体、施設(3団体)
2.プロボノで支援したい個人(先着10名)
説明会を1月27日(日)10時から開催します。
■12月の活動レポート
あつぎみらい21のウェブサイトリニューアルに伴い、今後はサイトへレポート
を掲載いたします。
みらいプロジェクト12月の活動レポート
みらいコミュニティは誰でも参加できる、地域活動の場です。
皆さんの参加を楽しみに待っています。来月の活動をお楽しみに!
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★Writer:伊豫田 竜二 (中小企業診断士)
□みらいプロジェクト 県央地域のソーシャルビジネス支援を通じて
プロボノや社会起業家など地域人材を育てる、あつぎみらい21の自主事業
Website: http://atsugimirai21.org/miraipj/
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3.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報 】
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▼ その他のセミナー・講演情報
厚木商工会議所 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.atsugicci.or.jp/category/seminar/
相模原市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
川崎市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.kawasaki-net.ne.jp/seminar.html
横浜商工会議所 セミナー・講習会のご案内
http://www.yokohama-cci.or.jp/event/
川崎商工会議所 セミナー・講演会スケジュール
http://www.kawasaki-cci.or.jp/event/index.html
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■ 編集後記
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平成30年も、あと実働3日ですね。いやいや、「大晦日までこれからが正念
場」の方や、すでに休暇に入られた方など、いろいろいらっしゃるでしょう。
年の暮れに起きた、株式の暴落も心配ですし、ゴーンさんと特捜の結末は一体
どうなるのでしょうかね。そんないろいろ、でも2019年は確実にやって来
ます。「皆様、良いお歳を。」
それでは次回も楽しみにして下さい!
メルマガや、当NPOの活動にご意見・ご質問などありましたら、お気軽にお
寄せください。
本メルマガは、GoogleGroupで発行しております。GoogleGroupは本来メ
ーリングリスト機能のサービスですが、読者の投稿はできません。メンバも当
然非公開としています。ご安心ください。
発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:石川征郎(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org
編集担当:橋向 博昭
E-mail: consulting@hashimukai.com
Website: http://www.atbridge-cnsltg.com
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